上図の温度単位[K]は絶対温度。これから273を引くと摂氏[℃]になります。300[K]のグラフが常温27℃であり、人体からの放射(体温)はこれに近い。3000[K]のグラフがハロゲンランプの放射に相当します。
放射強度は対数目盛なのでピーク位置より1目盛下がると1/10になり、2目盛下では1/100になります。従って実質的に意味のある放射範囲はピークから1目盛下程度までの範囲です。
上図から解る様に高温度の発熱体から長波長の放射が無いわけではありません。むしろ長波長の放射も高温ほど多くなります。ただ割合が少ないだけです。
放射強度が上図グラフの値を超える事はあり得ません。すべての波長域で放射率が100%の時(黒体)で上図の値となり、現実の物質は放射率が必ず100%未満なので、上図グラフよりも全ての波長で低くなります。また現実の物質は放射率の波長依存が一定ではないので、上図グラフの山の形と全く相似形というわけでもないですが、基本的にはほぼ上図グラフの形となり、物体の組成などによる差は僅かです。
上記した「温度放射強度と波長分布」は以下で説明するように「プランクの法則」により求められますが、計算はかなり面倒なので実用上は上記グラフを利用するだけでもよいと思います。
黒体における単位面積・単位波長あたりの放射エネルギー密度 W (λ,T)は
W(λ,T) = 8πhc/λ5/( exp( hc/λkT ) -1) [w/m2]
λ:波長 [m]
T:黒体の温度 [K]
c:光速 3×108 [m/s]
k:ボルツマン定数1.3807×10-23 [J/K]
h:プランク定数 6.626×10-34 [J・s]
上式をC1,C2を使ってまとめると
W(λ,T) =C1/λ5 /(exp(C2/λ/T)-1) [w/m2]
C1(放射第一定数)=2πhc2=3.7427×10-16 [W・m2]
C2(放射第二定数)=hc/k=0.014388 [m・k]
光子(フォトン)1個のエネルギーはpe=hν=hc/λ
1 /( exp( hc/λkT ) - 1 )は平均光子数
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以下は「温度放射強度と波長分布」のもう少し細かく見やすい資料です。放射強度の単位が先の資料とは違い、単位立体角当たりの放射[w/cm^2/sr/μm]になっていますので、平面からの総放射に直すには×2πする必要があります。
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